
① ひなたぼっこと同じ床暖房の気持ちよさ
冬の日なたぼっこは、なぜ気持ちいいのでしょうか。それは太陽からの赤外線(ふく射熱)が皮膚の内部に浸透し、人体に熱エネルギーを供給するためです。このときの赤外線は7.5μ以上の長い波長をもつ赤外線であり、ハイブリッドソーラーハウスの床面から放射される遠赤外線(7.0μ以上)とほぼ一致します。
このような波長の長い遠赤外線は皮膚の下の温点を直接暖めます。人間の皮膚はたんぱく質でできているため熱伝導が悪く、空気を暖める暖房方式では体が温まる前に暑さを感じ、不快になります。
② 床暖房は室温のバリアフリー
がんと並んで多くの日本人の死亡原因となっているのが脳卒中です。脳卒中の最大の敵は寒さで、冷え切った廊下やトイレでのヒートショックのために血圧が急上昇し、脳卒中で倒れるケースが大半です。
足首には血圧を左右する温度センサー(神経)が集中しているといわれ、床面温度を適温に保つ事が重要になっています。これからの住まいは段差をなくすバリアフリーだけではなく、温度差のバリアも解消する時代です。
③ もちろん頭寒足熱
空気を暖めるストーブやエアコンなどは、部屋の上部は暑いほどになるのに、足元はなかなか暖まりません。床暖房は空気を暖めるのではなく、ふく射熱によって人体を直接暖める方式ですから、部屋の上下温度の差は、ほとんどありません。リビングに大きな吹き抜けをつくるなら床暖房、といわれるのはこのためです。
④ 理想的な快適温度
首都大学東京(旧東京都立大学)の須永教授(※1)らが冬の居室を想定した実験室において、どんな温熱環境が快適かを定量的に測定しました。
その結果、床面は26℃程度、床から120cm(イスに座って頭のあたり)で約22℃が最も多数の人にとって暑くもなく、寒くもない温度(被験者約1,000人)で、頭寒足熱が快適であるという結果が得られました(※2)。
一方、国際基準を策定するISOの研究でも、床面は25℃前後を快適とする人が最も多いという結果が出ており、WHOは健康住宅ガイドラインという明確な基準を設け、高齢者や小さな子供がいる部屋では、膝の高さで22℃以上なければならないとしています。
快適さは個人の好みがあるとは言え、頭寒足熱が健康住宅の目安と言えるのではないでしょうか。
※1 博士(工学)。都立大学大学院建築学専攻博士課程修了。都立大学助手、同助教授を経て06年より
首都大学東京都市環境学部教授。「自然界的建築」の創造と普及に努める。
※2 堀 祐治、伊藤 直明、須永 修通、室 恵子、不均一熱環境における熱的快適感の評価に関する研究。
床面温度が熱的快適性に及ぼす影響と局部温冷感による熱的快適性の予測について。
日本建築学会計画系論文集、No.501、op.37-44、1997年11月。
ISO、WHOガイドライン推奨の理想的な快適床温度と室温を保つ
引用:チリウヒーター株式会社 シルクラインパンフレット
家族が心地良く暮らすために快適な温熱環境の7つの要素とは
空気の温度
室温
室温は子供や足の冷えを考え床上50cmで測る
(WHO推奨)
温度差が原因
湿度
不適切な暖房は結露やダニ・カビの原因となります
平均輻射温度
MRT
快適な室温のこと
壁・床・天井・窓などの総平均した温度
高すぎると危険
床温度
足指の間に汗をかくほどの温度は不快
不快の原因
上下温度差
国際基準では足首と頭の温度差が3℃以下を推奨
ドラフト
気流
温風暖房機などファンが起こす空気の流れ
体感温度を下げる
壁と室温の差
体熱を奪う輻射温度差気温とMRTの温度差は3℃以下に
